玄米の血糖値への影響は?玄米と血糖値、ダイエットへの影響を解説する

血糖値

玄米は糖質制限中の主食としてよく用いられる食品です。ダイエットや筋トレをしている人が食べているイメージもありますが、実際血糖値への影響はどうなのでしょうか?こちらの記事では、玄米と血糖値について、ダイエットへの影響も含めて解説しています。こちらの記事を読むことで、玄米についてだけでなく栄養学的な基礎もしっかり理解できます。糖尿病の治療にも有用です。是非参考にしてみてください。

 

玄米とは

玄米

まずは玄米についてみていきましょう。玄米は稲の実から「もみがら」のみを除いたもので精米度合いがもっとも低いもののことを言います。精製があまりされていないことから、お米のもつ栄養素がほとんどそのまま含まれています。では、具体的にみていきましょう。

 

玄米に含まれる栄養素

玄米には、三大栄養素である糖質、たんぱく質、脂質以外にもビタミン、ミネラル、食物繊維を含みます。ビタミンは特にビタミンB群が多く、ビタミンB群は栄養素をからだの中で代謝する(利用できる形にする)ために必要な栄養素です。糖質や脂質を代謝するのに必要なので、ダイエットや筋トレ中の方に摂取が推奨されます。また、玄米には腸内環境の改善に役立つ食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維は善玉の腸内細菌のエサとなり、からだを内側からキレイにしてくれる嬉しい栄養素です。

 

玄米と白米に含まれる栄養素の比較

玄米には上記のような栄養素が含まれていることがわかりましたが、一般的な主食である白米と比較してみるとどうなのでしょうか?下の表にまとめてみました。

 
玄米
白米
エネルギー(kcal)
346
342
タンパク質(g)
6.8
6.1
脂質(g)
2.7 0.9
炭水化物(g)
74.3 77.6
ナトリウム(mg)
1 1
カリウム(mg)
230 89
カルシウム(mg) 9 5
マグネシウム(mg) 110 23
リン(mg) 290 95
鉄(mg) 2.1 0.8
亜鉛(mg) 1.8 1.4
銅(mg) 0.27 0.22
マンガン(mg) 2.06 0.81
セレン(μg) 3 2
ビタミンE(mg) 1.4 0.1
ビタミンB1(mg) 0.41 0.08
ビタミンB2(mg) 0.04 0.02
ナイアシン当量(mg) 8.0 1.2
ビタミンB6(mg) 0.45 0.12
葉酸(μg) 27 12
パントテン酸(mg) 1.37 0.66
ビオチン(μg) 6.0 1.4
食物繊維(g) 3.0 1.0

 (100gあたり)
日本食品標準成分表2020年版より

こちらの表をみると、炭水化物は玄米で少しだけすくなくなっており、ほとんどの栄養素が白米より玄米に多く含まれていることがわかるかと思います。多様な栄養素を摂ることができる点でも、玄米は健康的な食事主食として推奨されています。

 

血糖値に影響する主な栄養素とは

では、いよいよ本題の血糖値についてお話していきます。血糖値に影響する栄養素は三大栄養素と言われている炭水化物、たんぱく質、脂質の3つです。それぞれからだへの働きと血糖値への影響が異なります。

 

炭水化物

炭水化物は糖質と食物繊維から成っています。食物繊維の方は血糖値には影響せず、糖質、とくにブドウ糖と言われる糖質が血糖値に影響してきます。炭水化物はわたしたちが動くために必要なエネルギーとなる栄養素です。からだのなかで分解、吸収され、血液中に血糖として流れます。インスリンというホルモンが血糖を細胞の中に取り込むことで、エネルギー源として使われます。

 

たんぱく質

たんぱく質は筋肉や血をつくるもととなる栄養素です。たんぱく質を摂取することは筋肉量低下の防止、体内時計の調整、睡眠の質の向上につながります。筋トレやダイエット中ではたんぱく質の積極的な摂取が推奨されるため、意外に感じる方もいるかもしれませんが、たんぱく質も血糖値に影響します。

 

脂質

脂質は炭水化物が枯渇した場合の、非常時用のエネルギー源です。そのため、三大栄養素のなかで最もカロリーが高くなっています。また、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性(油に溶ける)ビタミンの吸収にも必要な栄養素で、脂質の摂取が足りないとこれらのビタミン不足が起こったり、肌の乾燥などが起こります。ただし、脂質は肉類や魚類などの食品に多く含まれているため、油として無理に摂取する必要はありません。

 

三大栄養素の血糖値への影響の違い

図

食べ物と栄養, 大阪医療センター

https://osaka.hosp.go.jp/department/nss/sidou/kabocount/eiyou/index.html

 

炭水化物を単体で食べた場合は100%が血糖に変わり、食後すぐに血糖値が急激に上昇して1間くらいでピークが来ます。たんぱく質を単体で食べた場合は50%くらいが血糖に変わり、食後3時間くらいをピークにゆっくり血糖値が上昇します。そして、脂質だけの場合は10%くらいが血糖に変わり、食後6~12時間頃にじわじわ上昇します。1食として考えると、天丼のような炭水化物と脂質が多い食事を食べた場合、食後1時間くらいで大きなピークがきて、上がった血糖値がなかなか下がらない、というケースが考えられます。このように三大栄養素それぞれで血糖値の上がり方が異なるため、食事のバランスが重要になります。

 

血糖値のからだへの作用

オイル

そもそも、血糖値はなぜ必要なのでしょうか?血糖値が与える主なからだへの作用について、確認していきます。そのうえで、適切な血糖値の取り方について理解していきましょう。

  1. からだを動かすエネルギーになる
  2. 筋肉や脂肪の合成促進

 

1.からだを動かすエネルギーになる

血糖値はからだを動かすエネルギーになります。糖質がわたしたちが動くためのエネルギーの源となることは炭水化物のところで説明しました。そもそも、血糖というのは血液中にあるブドウ糖(グルコース)のことです。血液中のブドウ糖の量が増えると、インスリンというホルモンが働いてからだの細胞の中に取り込まれます。これがエネルギー源となります。また、余分なブドウ糖は違う形に変換されて筋肉や肝臓に蓄えられます。

 

2.筋肉や脂肪の合成促進

血糖値があがるとインスリンというホルモンが働きます。このホルモンは、骨格筋に作用してアミノ酸(たんぱく質の構成要素)の取り込みを増加させて、たんぱく質の合成を促進し、分解を防ぐ働きもあります。そのため、筋肉の増加に役立ちます。また、インスリンには中性脂肪の分解を防ぎ、脂肪酸やコレステロールの合成を促す作用もあります。

 

血糖値が高すぎることによるデメリットとは

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血糖はわたしたちが生きるためには必要ですが、高すぎることによるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?主な3つのデメリットについて、確認しておきましょう。

  1. 太りやすくなってしまう
  2. 血管が傷つく
  3. さまざまな病気を引き起こすリスク

 

1.太りやすくなってしまう

血糖値を下げるホルモンであるインスリンには脂肪を合成するはたらきもあることを先ほど説明しました。血糖値が急激に上昇するとインスリンがたくさん分泌されるため、脂肪が増えやすくなり、太りやすくなってしまいます。ダイエットで低糖質がおすすめされるのは、このような理由があるからです。

 

2.血管が傷つく

血管の中にたくさんの糖がある状態が続くと、血管が傷ついてしまいます。血管が傷つくと、血管が硬くなったり、血管の壁が分厚くなったりします。また、血液中の糖を薄めるために血管内の水分量が増えて血管内の圧が上がることも、血管への負担になります。

 

3.さまざまな病気を引き起こすリスク

血管へのダメージが蓄積すると動脈硬化を起こしやすくなります。血管は全身に存在するため、さまざまな臓器へダメージを与えてしまう可能性があります。血糖値が高い状態が続いている糖尿病では、目や腎臓、神経などに障害が起こりやすくなることが知られています。また、脳梗塞や心臓病などのリスクも高まります。

 

血糖値が低すぎることによるリスクとは

腹痛

血糖値が高すぎると、太ったり病気になりやすくなるリスクがあることがわかりました。では反対に、血糖値が低すぎると、どのようなリスクがあるのでしょうか?健康な人では、ホルモンが正常にはたらくため、血糖値が過剰に下がるということはあまりありません。しかし、不規則、不摂生な食生活を行っている場合は、糖尿病の人のように血糖値が下がりすぎることもあります。血糖値が低すぎることによるリスクも確認しておきましょう。

  1. からだを動かすエネルギーの枯渇
  2. 病気を引き起こすリスク
  3. 筋肉や脂肪の分解

 

1.からだを動かすエネルギーの枯渇

まずは、からだを動かすエネルギーが枯渇してしまいます。糖質が主なエネルギー源であるため、糖質を極端に食べない状態では疲れやすくなったりします。また、手の震えや冷や汗、動悸、強い空腹感を感じることもあります。重度の場合は、めまいや意識障害を起こすこともあります。

 

2.病気を引き起こすリスク

低血糖を起こすことも血管に負担がかかります。そのため、脳梗塞などのリスクも高まります。また、低血糖を繰り返すうちに症状に慣れてしまい、低血糖が起こっていることに気づかず重症化していくということもあります。低血糖が起こらないようにすることも非常に重要です。

 

3.筋肉や脂肪の分解

こちらは低血糖の症状ではありませんが、糖質の極端な制限による血糖が低い状態が続くことによるリスクです。血糖値が低いと、筋肉や肝臓に蓄えていた糖を使って血糖値を一定に保ちます。それ以外にも、筋肉のアミノ酸(たんぱく質)を分解してエネルギー源に変えたり、脂肪の分解も行われます。また、インスリンの分泌量が減るため筋肉の合成も行われません。血糖値が低い状態が続くことは筋肉量の低下にも繋がるため、糖質の過剰な制限はおすすめされません。

 

玄米を食べることによる血糖値への影響

玄米

健康を維持するためには、血糖値の急激な上昇や下がりすぎを避けて、ゆるやかに上昇させることが大切です。玄米ではどのような血糖値の上がり方をするのでしょうか?最後に玄米の血糖値への影響を確認しておきましょう。

 

低GI食品として血糖値の上昇を抑える

まず、GIとはGlycemic  Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後の血糖値の上昇を示す指標です。食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖の量を測って指標にしています。血糖値の上昇が急激なものほどGI値が高く、緩やかなものほど低くなります。

 

血糖値が上がりにくいためダイエットに効果的

GI値が70以上のものを高GI食品、56~69のものを中GI食品、55以下のものを低GI食品と定義されています。白米のGI値は88で高GI食品、玄米は55で低GI食品ということになります。

玄米は糖質の量が少なめで食物繊維が多く含まれているので、食べてもすぐに吸収されず時間をかけて緩やかに吸収されます。血糖値の急激な上昇を防ぐため、インスリンが大量に分泌されて脂肪合成が過剰に進むことを防ぐことができ、ダイエットに効果的です。もちろん、血管を傷つけるリスクが減るので、生活習慣病などのさまざまな病気の予防にも役立ちます。

 

たんぱく質を多く含む食品を摂ると効果的

他にも低GI食品の代表は、肉や魚、大豆製品、乳製品などのたんぱく質です。中でも納豆や豆腐などの大豆製品は、低GIであると同時に脂肪分も少ないため、ダイエットや健康維持におすすめの食品です。

 例えば、玄米を主食として、たんぱく質、野菜類と低GI食品の中から選んでいけば、血糖値の急上昇が抑えられる献立になるということです。効果的なダイエットがしたい方は、主食を玄米に変えて、タンパク質と野菜を中心にした食事にすると良いでしょう。

 

まとめ

肌

健康や美容のためには、血糖値の急激な上昇と下がりすぎを防ぐことが大切です。玄米は低GI食品であるため、食べてもすぐに吸収されず、時間をかけてゆるやかに血糖値を上昇させます。理想的な血糖値の上がり方をする玄米は、ダイエットや筋トレ、美容に嬉しい栄養素も豊富に含まれています。玄米を普段の主食に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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