五郎兵衛米のランクは?令和3年産米のランキングからお米の特徴を詳しく解説

五郎兵衛米

山に囲まれた土地ならではの日射量や昼夜の寒暖差、強粘度が特徴の土壌、そして蓼科山から流れ込む天然水をたっぷりと使用して作られる「五郎兵衛米」。長野県が誇る信州コシヒカリは、一般財団法人日本穀物検定協会が行う食味ランキングにおいて、どのような評価を得ているのでしょうか。

本記事では、五郎兵衛米の歴史や魅力とともに、食味ランキングの概要、令和3年産米のランキングの特徴などについて解説します。


五郎兵衛米とは

稲

五郎兵衛米とは、長野県佐久市旧浅科村にある五郎兵衛用水の水を使って栽培されている、信州コシヒカリです。

五郎兵衛用水は、江戸時代に市川五郎兵衛真親(いちかわごろうべえさねちか)が私財を投じて苦労の末に築いた、約20km続く歴史ある水路です。蓼科山からの清流が水源となっていて、この清い水で栽培されたお米がとても美味しいと評判になったことから、この土地で育つお米を五郎兵衛米と呼ぶようになりました。

五郎兵衛米の魅力は、強い粘り気と噛むほどに口の中に広がる甘み。ふっくらとした粒で艶があり、冷めても美味しく食べられることなどから、最高峰の「特Aランク」を取得した実績を持ちます。


生産量が少ない希少性米と言われている

小さな村である旧浅科村には、五郎兵衛用水を使用して栽培することができる水田はわずか約400ヘクタールしかありません。さらに生産者のこだわりから、田んぼの面積における苗の数は通常の約7割程度に留めています。すると稲一本一本に日光があたり風通しも良くなるため、病気知らずな丈夫な稲が育ちます。

そういったことから、五郎兵衛米が生産できる量は限定され、希少性米となっています。


元々は高級料亭でしか味わえなかった

五郎兵衛米は、その美味しさから高い評価を受け、多くの高級料亭で扱われています。希少性が高いことから、全国の一般市場に流通することはほとんどなく、元々は高級料亭での買付けで完売してしまう程でした。


通販やふるさと納税の返礼品としても人気

現在では、五郎兵衛米は長野県佐久市のふるさと納税の返礼品として出品されるようになりました。農薬や化学肥料の使用が基準値以下の「特別栽培米」でもある五郎兵衛米は、地方創生やSDGsの「持続可能な消費と生産」や「陸上資源」の視点から、佐久市のブランド米として広めていこうという運びです。

生産者の依田さんが運営する「THE 五郎兵衛米 信州佐久オーガニック研究会」のホームページや各通販サイトでも購入することができ、高い評価と人気を集めています。


五郎兵衛米が美味しいと言われる理由とは

田んぼ

五郎兵衛米が美味しいと言われる理由には、お米の栽培において重要な「水」「日射量」「土」「気温」の主に4つの要素が関係しています。五郎兵衛米が育つ旧浅科村ならではの自然と生産者のこだわりが生んだ、奇跡と努力の産物です。


5つの要素について、1つ1つみていきましょう。

  1. 蓼科山(たてしなやま)の天然水を利用
  2. 蓼科山は日本有数の晴天率を誇る
  3. 強粘土質な土壌で栽培される
  4. 昼夜の寒暖差が高い
  5. 緻密な施肥設計でお米の品質を守る

 


1.蓼科山(たてしなやま)の天然水を利用

五郎兵衛米の栽培に使用する五郎部用水の水は、蓼科山の標高約1900mの高さから流れる水が水源となっています。この天然水が清らかであるからこそ、微生物の活動が活発になり、土までも良くしていきます。そしてこの天然水が贅沢に流れ込む環境は、美味しい五郎兵衛米の栽培には欠かせない要素の1つであり、他のコシヒカリとの違いでもあります。


2.蓼科山は日本有数の晴天率を誇る

蓼科山が位置する長野県は、実は全国でもトップレベルの日射量を誇る県です。そしてその中でも佐久市は上位にあたり、その晴天率の高さはお米の栽培にとってとても恵まれた環境です。太陽の光をたくさん浴びて育つ五郎兵衛米は、甘みを蓄えながらどんどん成長していき、他のお米より群を抜いて美味しくなるのです。


3.強粘土質な土壌で栽培される

五郎兵衛米は、佐久地域特有の強粘土質な土壌で栽培されています。土の粘度が高いということは、肥料が流れずに保つ力が豊かであるということになります。そしてこの土壌で育つ五郎兵衛米の稲は、しっかりと根を伸ばし無駄なく養分を吸収していきます。

その結果、炊いたときに強い粘り気と甘みが存分に味わえる、美味しいお米となります。


4.昼夜の寒暖差が高い

山に囲まれた長野県は、標高が高く一日の寒暖差が大きいのも特徴です。全国トップレベルの日射量で日中は気温がどんどん上昇していく一方で、夕方以降に太陽が山に隠れ始めると

気温は一気に降下していきます。

実はこの自然が作り出す寒暖差が、五郎兵衛米の美味しさの要因の1つともなります。寒暖差に負けずに強く根を張った稲は、しっかりとした米粒で深い味わいのお米へと育ちます。

また、このような気候で育つお米は、稲の代表的な病気の1つであるいもち病がほとんど発生しません。そのため、農薬を極限まで減らして安心安全なお米を栽培することができます。


5.緻密な施肥設計でお米の品質を守る

五郎兵衛米の栽培では、緻密な施肥設計を行うことにこだわっています。肥料によって窒素が過剰に含まれると、稲は必要以上に細長く成長します。すると倒れやすくなり、倒れてしまった稲から採れるお米は品質や味が著しく低下してしまいます。

そういった理由から、お米の収穫量を増やすための追肥は行いません。お米の収穫量はその年の天候や様々な環境により左右されるものですが、五郎兵衛米はどんな天候でも安定した品質と美味しさを目指すべく、緻密な施肥設計のもと栽培されています。


お米の「ランク」とは?

ランキング

お米には、「食味ランキング」というランク付けがされています。これは、一般財団法人日本穀物検定協会が良質なお米作りを促すことと、お米の消費の拡大のために行っているものです。炊いた白米を試食して評価する食味官能試験に基づいて、全国規模の産地品種において行っています。

また、食味ランキングは流通する全てのお米を評価するものではないことと、商品そのものの評価ではないということも併せて理解しておきましょう。


一般財団法人日本穀物検定協会の基準で5段階の評価がある

ランク付けを行っている一般財団法人日本穀物検定協会では、5段階の評価基準を定めています。専門の食味評価のエキスパート約20名が、基準となるお米と試験対象となるお米を比較して評価します。

都道府県の奨励品種であることや、作付面積が一定の基準を満たすこと、また白米の外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目で評価されます。

ランクは、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準米として、概ね同等のものを「A’」、さらに特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」と定めています。そしてこの5段階評価の結果は、毎年食味ランキングとして発表されています。


参照元:一般社団法人日本穀物検定協会「3年産米の食味試験の実施及び概要」

https://www.kokken.or.jp/data/ranking_hajime03.pdf


お米の食味ランキングが公表される時期

お米の食味ランキングは、昭和46年度から毎年実施されている歴史あるもので、秋頃から出回る新米のランキングは、年明け以降の3月頃に毎年結果が発表されています。お米を栽培している農家や美味しいお米を追求する消費者にとっては、毎年の楽しみとも言えるランキングとなっています。


令和3年産米の特Aランクされた品種とは

お米

令和3年産米の食味ランキングでは、152産地品種が対象となりました。この内、最高ランクとなる「特A」の産地品種数は42、「A」は88、「A’」は22。[B」と「B’」は該当なしとなっています。

令和3年産の食味ランキングにおいて、特Aランクを取得したお米を品種別に見ると、「コシヒカリ」の産地品種数は13、「きぬむすめ」が5、「つや姫」が4、「ヒノヒカリ」が4となっています。今回のランキングにおける特徴としては、今回初めて特Aランクを取得した産地品種の中でも鳥取県や島根県、岡山県などの「きぬむすめ」が多くランクインしました。

きぬむすめは、炊きあがりのツヤと白さが特長で、粘り強く柔らかい食感が冷めても続くというのが魅力です。収穫量や品質などのバランスが安定していて栽培しやすいことから、島根県に4000ヘクタール以上が作付けされている他、さらに大阪府、和歌山県、島根県、兵庫県、山口県、静岡県でも奨励品種として普及が進んでいます。

食味ランキングで「特A」評価を取得することは、生産者にとっては栽培したお米の商品価値を高め、銘柄米としてその産地のお米のブランド化にも貢献します。お米が美味しい産地として認知が広がれば、お米の販路拡大もしやすく、ますます成長していくのです。


参照元:農業協同組合新聞
https://www.jacom.or.jp/kome/news/2022/03/220302-57237.php#:~:text=%E5%9F%BA%E6%BA%96%E7%B1%B3%E3%82%88%E3%82%8A%E3%82%82%E7%89%B9%E3%81%AB,%E3%80%8CB'%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

一般財団法人 日本穀物検定協会

https://www.kokken.or.jp/data/ranking_sanchi03.pdf


五郎兵衛米は特Aランクを取得した実績がある

五郎兵衛米は、令和元年より特Aランクを取得した実績があります。五郎兵衛米は、長野県産のコシヒカリのうち、東信地区に該当しています。

周囲が山に囲まれている長野県は、お米づくりに最も適した産地です。標高が高いために昼夜の温度差が激しく、光合成から作られたでんぷんが効率的にお米に蓄積され、甘みのある美味しいお米が育つのです。また降水量が少ないことから、他の都道府県と比較しても病害虫の発生が少なく、安心安全なお米作りが可能なのです。

こういった長野県の恵まれた環境で栽培されるお米は、味も品質も良いと評価が高く、食味ランキングでも何度も特Aランクを取得しています。そして五郎兵衛米も、そのうちの1産地品種なのです。


参照元:一般財団法人 日本穀物検定協会

https://www.kokken.or.jp/data/ranking_specialA03.pdf


五郎兵衛米の新米はいつから?

おにぎり

令和4年産の五郎兵衛米は、五郎兵衛米の産地である長野県の産直販売や通販サイト、ふるさと納税などで購入することができます。

 

9月頃から新米の予約が開始する

五郎兵衛米の新米は、9月頃から予約が開始しているようです。ただし農家や販売業者などによって始まる時期に差が出ることがあるので、早めにホームページなどで確認するようにしましょう。


早くて9月下旬から11月頃までにかけて発送される

発送時期についても、各農家の収穫時期などにより前後しますが、9月下旬から11月頃にかけて発送されることが多いようです。高級料亭などでも多く扱われることや、希少性があることからも、早めに予約を行うのがおすすめです。

すぐに購入したいと言う場合は、昨年度産の五郎兵衛米を購入するのが良いでしょう。


ふるさと納税では定期便も

ふるさと納税のサイトでは、五郎兵衛米の新米5kgを毎月1回、合計6ヶ月の定期便を取り扱っているところもあります。


まとめ

ご飯

一般財団法人 日本穀物検定協会が行うお米の食味ランキングは、品質の良いお米作りの促進とお米の消費拡大に役立てるために行われているものです。こういったランキングの存在によって、生産者は上位を目指してより品質の良いお米作りに奮闘し、全国各地のお米レベルが益々上昇していきます。

消費者にとっては、全国各地に数多くある産地品種の中から自分の好みに合うお米を選ぶ楽しみとなり、お米を通してその産地の特長や魅力までもを知るきっかけにもなります。

長野県佐久市旧浅科村で栽培されている五郎兵衛米もまた、最高峰ランクの取得実績を持つ長野県が誇るブランド米です。強い粘りと甘み、冷めても損なわない美味しさが魅力の五郎兵衛米を、ぜひ味わってみてください。

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